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2010 - 6 /18
山で一泊、上ホロから十勝岳(1日目)
山開きを向かえた後では、もう見ることができない風景というものが、たしかにあると思うのです。
残雪が豊富だとか、この時期にだけ花を咲かす高山植物などといった、目に見えるものごともそのひとつだけど、それだけでは説明が付かない何かが、特別な風景を見せてくれるんじゃないかと思うのです。
たとえばそれは、まだ人にかき回されていない、みずみずしい山の空気かもしれません。
たとえばそれは、山々が長い眠りから目ざめる直前の、無呼吸的な静寂かもしれません。
そこで見られるものは、きわめて局所的で、限定的な風景といえるでしょう。
それを確かめるために、またしてもこの界隈にやってきてしまいました。
温泉の人曰く、「雪がありすぎて山開きに間に合うかな。」
ならば行くしかあるまい。
たぶん今年は、これが最後のチャンスです。
駐車場を出て、コンクリートの敷かれた硬い坂道を歩いていくと、数分も立たぬうちに道は雪に埋もれてしまいました。
ほんの数メートルほどは、いろいろな大きさのいろいろな形をした足あとがいくつも交錯していましたが、じきにそれらは来た方向へと戻り、一本の確かな歩幅の踏み跡だけが先へと続いていました。
山に登るつもりのない一般の観光客は、ここで引き返すことになるでしょう。
この1つめの関を越えて奥へ進むと、岩と雪の力強い峰々が出迎えてくれます。

雪を跨いで対岸の斜面へと渡り、しばらくは土の地面とハイマツの香り。
楽できると思ったのもつかの間、あらわれた雪の斜面は、イヤらしい硬さとイヤらしい斜度。

硬い雪の斜面をトラバースすることに不安を感じる人は、ここより先へ進むことを諦めることになるでしょう。
化物岩の圧力を感じながら、雪と土を交互に踏んで岩を回りこみ、少し高度を下げると、雪に埋もれた夏道の分岐標識を見つけます。
分岐なのに、雪上の踏み跡はひとつの方向にしかなく、おそらくそれは富良野岳へ向かった登山者のもの。

地図読みに自信がない人は、ここで大事な決断をせまられることになるでしょう。
コンパスを切って、右に離れていく踏み跡に惑わされないように雪渓を登っていくと、前方の尾根にあの地獄階段が目視できました。
ここで小休止。
三峰山と富良野岳にかこまれて、あたりはすっかり山の中。

小さく気合いを入れて階段地獄に挑むも、半分くらいはまだ雪の下で、あっという間に、拍子抜けするくらい短時間で登り切って、D尾根に出てしまいました。
先週登った十勝岳とご対面。

ここまでくれば、左右から迫りくる岩の展望をほしいままに、迫力あるD尾根を一気に登り切って上富良野岳へ。
ここから小屋までルートは二つ。
上ホロカメットク山を越えるルートは、北側の下りに雪が着いてると危ないと思い、南東の峠を跨ぐ巻き道ルートを取るも、予想に反して100%雪に覆われていました。
しかも新得側の斜面に出ると、ところどころが氷化して、雪と氷の縞模様。
小屋は見えてるのに足が出ず。

足裏センサーの感度を最大にして、雪の柔らかい部分を選び、やっとの思いで避難小屋までたどり着くと、カミホロ山頂コースを進んだ二人組が先に着いていて、一等地にはすでにテントが張られていました。
16時。
しばしの休息。
17時30分。
2年前に消費期限の切れたSolleoneの夕食。
18時30分。
一日の最後を見届けるため、主稜線を北に。
18時45分。
OP尾根の手前、小ピークから西に延びる支尾根へ。
そして19時。
太陽は目に見える速さで地平線に近づいていきます。
空が、岩が、雪が、みるみる色を変えていきます。
夕暮れ時の、ほんのわずかな間だけあらわれる、魔法のような時間のはじまりです。
・夕暮れの十勝連峰のパノラマ
QuicktimeVR版 (高画質)はこちらをクリック(1550KB)
Flash版 (中画質)はこちらをクリック(1540KB)
人はよく、カメラを持たないほうがしっかりと風景を覚えていられるというけれど、この圧倒的な風景や色を、目や心に焼き付けることなんてできるわけがありません。
そしてカメラだって、このうねるようなマゼンタのトーンを、あまさず写真に表現することは、できないのです。
この日、この時間、この場所にいられたこと。
それがすべてです。
明朝、北東の空が白み始めるまで6時間と少し。
北国の夏の夜は、とても短いのです。
投稿者 hamayo : 2010年6月18日 07:23
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サダミキと申します。東京者です。
初めまして。
北海道の山に恋焦がれ憧れ続けて、ついに今年念願が叶い北の大地へ下り立ちます。
十勝岳登ります。富良野岳登ります。雌阿寒岳も登ります。ニセコも登ります。
何年もかけて情報収集した中で、hamayo様の影響はとくに大きかったです。
とくに360度全周画像は何度眺めても飽きません。
今回の夕焼けも美しすぎです。
hamayo様のブログに出会えたことに感謝しなくてはと常々思っていました。
今週末から9日間の日程で行きます。私も同じような景色が見れるよう祈っててください。
では。
はじめまして。
北海道はみなさん、あこがれの地なのですね。
ぼくが北関東の山にあこがれるのと、同じような感じなのでしょうか。
9日間のお休みとのこと。
なんともうらやましい限りです。
そちらは梅雨のまっただ中かと思いますが、今のところこの先の北海道、連日、晴れ、晴れ、晴れ、のすばらしい予報が出てますよ。
上ホロの夕景は、確かに今までの山行のなかで一番と言ってもいい、色に酔ってしまうような不思議な色合の夕焼けでした。
山でお泊まりになるのでしょうか。
でしたらきっと、美しい夕焼けがなんども見られると思いますよ。
このBlogが少しでもお役にたてたのなら、ぼくとしても嬉しいです。
サダミキさんの山旅が、安全で、そしてすばらしいものになりますように。
では、いってらっしゃい。
>この日、この時間、この場所にいられたこと。それがすべてです。
本当にその通りだと思う。ただ山が見たいだけじゃない!!その時のその空間に身を置きたいんだよね~~~
そして、その空間に染まりたい・・・・無理だけど。
それにしても・・・そのテント良いよね♪
場所と、時間と、自分なんだね~。
そこにいる自分ってのを「身を置く」って言葉で認識してるときは、もう体からこころが抜けかかってるんだね~。
うーん、あぶない世界だね~(笑)。
いいでしょ、三角テント。
軽いし、広いし、雨に強いし、ハンパなく風に強いけど、めっちゃ結露すんの。
張るのに面積必要だから、稜線の指定地には向かないけどね。