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2010 - 6 /10
残雪の十勝岳でズルズル
快晴、無風、気温9度の望岳台。

一見、非の打ちどころのない登山日和に見えるこの写真には、今日の登山のカギを握るあるものが写っています。
富良野の町からも、すでに'そいつ'は見えていて、その時からずっと思っていました。
「天気が良すぎるのも考えものだな」
と。
多すぎる残雪や、アリ地獄のような砂礫に苦戦しつつも、ぼくは山に登り、ちゃんと帰って来ました。
ですが、きっちり'そいつ'にはヤラレたのです。
ちゃんと予見してたのにね。
始めは緩やかだったガレ斜面は、こっそりと勾配を強めてきます。
おや?少しきつくなってきたかな、と足が感じるころ、遠くぽつんと見えていた避難小屋がすぐ目の前の、ここは雲ノ平分岐。

ここらあたりまでは、礫地を歩こうが雪渓を歩こうが、お気に召すまま。
しかし小屋から上は、観念するほかありません。

まだ朝のうちは、雪が柔らかいのは表面だけで、キックステップもフラットフッティングも利きが悪く、ズルリとすべる靴底に悪態をつき、さっきまでは先行者の遅すぎるペースをいぶかしんでいた自分も、今は同じ静止画のような歩みです。
雪が切れたところから夏尾根にスイッチ。
真っ黒なスコリアの斜面を這い上がっていくと、生命感のまったくない、白と黒の光景に、しばし言葉を失います。

登りつめた先の安らかな平坦地は、スリバチ火口の西の端です。

デカすぎる山体、鋭い山頂、地平線に溶け込むような裾野、そして暴力的な爆裂火口をチラリと見せてくれるこの地点は、美瑛岳の美しさが最もきわだつ場所だと思います。
ふたたび雪から離れ、まっ平らな砂礫の原っぱを抜けます。
いよいよ本峰へ。
そそりたつ雪の斜面へ向かう先行者は、あたかも巨大な波に挑むサーファーのよう。

でもよく観察すれば、踏み跡は下りてくる人が付けたもの。
稜線に出た二人組みの苦戦ぶりを、ハラハラドキドキで見ていました。
ならばと探した緩い斜面も、頂稜直下ではかなりの傾斜。

見えない前爪で蹴りこむけれど、滑ったら止まらないだろうな。
帰りもかなり心配だし。
そして頂上。
オーバー2000mの、決して真夏には見ることができない、残雪の山々。
・十勝岳からの、残雪の山々のパノラマ
QuicktimeVR版 (高画質)はこちらをクリック(2060KB)
Flash版 (中画質)はこちらをクリック(2008KB)
昼ごはんは、ダイモスおにぎり。

天気予報では終日晴れだったけど、午後には小さな気圧の谷がペロリとなめていくのは分かってたから、ちょっとばかし寝ころんだら早めに下山します。
みんなが下りの踏み跡にダマされて、苦戦して登ってた雪のビッグウェーブへ。
面白いようにグリセードが走って、少しはテレマークを持ってこなかった穴埋めになったかな。
谷を下りきって、ぐるりとあたりを見回すと、まるで氷河トレッキング。

そうやってはしゃいでいると、忘れていた'あいつ'がやってきました。
目に見えないし、音も立てない。
唐突に、冷たいバターナイフを鼻の穴につっこまれ、グリグリされるような感触。
でもその瞬間に、何が起こったかは理解できました。
濃度の高い硫化水素を鼻から吸い込んで、粘膜が侵されたのです。
富良野から十勝岳を見上げた時、噴煙がほとんどまっすぐ上がっていくのが見えてました。
そしてちょうどグラウンド火口のあたり一帯だけが、煙っていたのです。
風が吹いてくれればいいな、と思いました。
なぜならこんな穏やかな日には、空気よりも比重の大きい硫化水素が、ちょっとした窪地に溜まりつづけ、濃度が高くなっている可能性があるからです。
幸いにして、ひどい障害を残すほどの濃度ではなかったようですが、この直後から、さらさらの鼻水が泉のごとく湧き出して、息をするよりも鼻を啜ってる時間の方が長いというありさまで、望岳台に降り着くまでのことは、あまり記憶にありません。
近くのスリバチ火口にはシュプールが残っていて、登りのときは羨ましい~って見てたけど、たとえ今は噴火口がなくても、ああいった窪地は危ないかもしれません。
投稿者 hamayo : 2010年6月10日 22:53
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力作ですねっ!
素敵だなー十勝岳~。
地形図をみてどんな感じなのかなーって妄想していたのです
が、コレを読んで少しだけ十勝岳がイメージできました。
やっぱすげーなー…
行きたいなぁ…
ウラヤマですっ!Hamayoさん
とにかく荒々しいんですよ。十勝岳は。
知らない星にひとりぼっち、みたいな感じもあるし。
十勝岳にスキーに来る人は、三段山とか前十勝にくらべたら少ないみたいだけど、春スキー、ってゆーか初夏スキーだったら、こっちもいいかも。
グラウンドの上あたりにテントを張ったら、もう一日中スキー三昧・・・あー想像しただけでウットリ。
そうそう、ETC付けたんですよね。
したら十勝岳はすぐですよ。
でも早朝とか深夜に車走らせるなら、小樽からだと高速も下道もあんまり時間差ないよん。
買い物とトイレ休憩入れて、3時間30分でした。
小樽~望岳台(下道)
ご無沙汰しておりました。
そろそろ山に登りたくてウズウズな毎日な初心者です。
でも、そんなところに来て、十勝管内でクマに遭遇、目撃の情報が相次いでいます。
さすがに闘っても勝てそうにないし・・・。
山で遭遇したりした場合はどうするのがベターなんでしょう?
何か耳寄りな情報をお持ちでしたら、ご教授お願いいたします。
未踏の山・・・十勝に住んでおきながら、まだ会いに行っていません。
山のおじさん達は言います。
「ガスの時には登るなよ~」と・・・
今は白と黒のモノクロの世界だけど雪が無くなると月面を歩いているような生命を感じない山!!という印象。
今シーズンは十勝岳・美瑛岳・美瑛富士を縦走しよう。あはっ。これ~去年も考えてたわ~~~(笑)
まっとりあえず、目の前の課題を一つ一つクリアしていくことにします。
沢山のhamayoさん。さすが正統派!!でも・・・これならアホウ派の写真の方が絶対楽しい写真になるよ~~~(^_-)-☆
わざわざ詳細なルート図まで作成していただいて、本当に
ありがとうございます!
ETC+レーダー探知機の武装が終わったので、いよいよ本格的
に検討に入ります!!
嗚呼、なんとも美しい北国の初夏であります。
スケールが違いますなあ...
硫化水素ガスですか!
むむむ。想像したことも体験したこともありません。
そういえば、市内にもひとつ、そいつを噴くやつが居ました。
うむむむ。拝読しつつ自然のスケールに打ちのめされながらも
ラストの踏み抜き写真ではグラスを倒して酒をこぼしました。
to 芽室の初心者さん
今年は雪解けが遅いですよね。
十勝岳でも、だいたい半月ぐらいズレてると言ってました。
熊には無策です。
自分の目で目撃したことはありませんが、むかし羅臼岳の指定地でテントを張ったとき、朝起きがけに、近くでテントを張ってたおじさんから、「ゆうべ熊の野郎がテントの周りをウロウロしやがって生きた心地がしなかったよ」、と言われたことはあります。
サンマの蒲焼きの缶詰を、翌朝も食べようと半分残したままテントの前室に放置してたなんて、とても言い出せませんでしたが(笑)。
むろん、ぼくは爆睡してました。
せめて鈴ぐらいは持って歩くかなぁ・・・。
to 若葉さん
グラウンド火口の上は、確かにガスったら迷いますね。
登りはいいけど、下りがね。
> 今シーズンは十勝岳・美瑛岳・美瑛富士を縦走しよう
ってことは、美瑛富士避難小屋か、そこでの野営ですな。
すぐそばにナキウサギ団地があるんだよね~。
テン泊だったら、じかに鳴き声を聞きまくりだよ。
ひとりぼっちでアホゥ派セルフを撮るには、ぼくはまだまだ修行が足らんです。
若葉さんを見習って精進せねば!。
そうそう、小樽のロードレースがんばってね。
最近の小樽は、海っぺりはよく海霧がかかって、すんごくひんやりするので、走るにはちょうどいいかも。
ちなみにぼくは、4年連続でロードレースの日はお仕事です。
to MYORさん
おおー、やる気満々じゃないですか。
いざ北海道のヘソの山へ!
ちなみにスピードではないけど、今日は三笠のココで一時停止を見張ってましたよ。
ご用心ご用心。
to いまるぷさん
ヒグマとか、落石とか、山ガールとか、目に見える相手ならまだ手の抗しようもありそうなのですが、硫化水素みたいに目に見えないヤツにやられるのだけは勘弁してほしいところです。
そういえば踏み抜きも目に見えないと言えば見えないなぁ。
よくぞここに三脚を立てたと自分をほめてやりたいぐらいですが、誰かに見られてるわけじゃないのに、どうしてこーゆー時ってカメラの方を見ちゃうんでしょうね。
こんばんは。
わっ、珍しい。
「光顔」ならぬ「生顔」のhamayoさん。
こんばんは。
仏様じゃないので、気高い顔ではないですけどね(笑)。
山は確かに、巍々としておりましたよ。