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2010 - 6 /28

小諸から山へ思いを



すっかり夏山に浮かれてしまって、もうずっと過去のことのように思えてしまいますが、忘れないうちに小諸のことも記さないと。


佐久から見た八ヶ岳も、それはもう感動的でしたが、小諸からも山がいっぱい見えるのです。
近くの山も、遠くの山も、もっと遠くの山も。





千曲川から小諸の町の方を見上げると、背後には浅間山とその仲間たちがズラリと並んでます。
千曲川のほとりから見る浅間山

千曲川のほとりから見る浅間山(カシミールで)

この日はあまりに天気が良く、時期としても春をすぎていたので、藤村の歌にあるような物憂さや欠乏感はみじんも感じられませんでしたが、こうして千曲川のほとりを歩きながら少しばかり想像力をはたらかせてみれば、あの歌にある情景がおぼろげながらも浮かんでくる・・・、ような気がします。




懐古園の水の手展望台からは、キング・オブ・双耳峰、鹿島槍ヶ岳が見えます。
懐古園から見る鹿島槍

懐古園から見る鹿島槍(カシミールで)

やはり鹿島槍の美しさは別格です。

五竜岳も凛々しく聳えています。
ぼくの冬山デビュー(テント崩壊で敗退)の山でして、感慨もひとしおです。
母さん、ぼくのあの鯖の缶詰どうしたでせうね。一ノ背髪から小遠見山へ行く道で、犬川へ落としたあの缶詰ですよ。




そして小諸の市街地、荒町の坂の上から見えるのは・・・
小諸の坂の上から、槍ヶ岳が見えます




山好きなら地図もカシミールも無用、即座にそれと分かる鋭い絶頂、槍ヶ岳です。
20年ぶりに見た、ナマ槍ヶ岳ですよ。
(画像はトーンカーブをいじってます)


念のためカシミールで。
小諸の坂の上から、槍ヶ岳が見えます(カシミールで)




さらに、千曲川の河畔、高麗人参畑から見える白く輝く山はなんと・・・
(これもトーンカーブいじってます)
小諸の千曲川河畔から、立山が見えます

小諸の千曲川河畔から、立山が見えます(カシミールで)

立山です。
これにはびっくり。
後立山の峰々に隠れるはずなので、まさか見えるわけがないとそのときは思ったけど、後立山の西の高い山といえば、たしかにこれしかありません。
ちょうど針ノ木・蓮華に雲影が落ちているせいで、立山の白さが際だって見えます。




実は小諸に行くまでは、こんなにたくさん北アの山々が見られるとは思ってもみませんでした。
同じ県の山といっても、右も左も山だらけで、しかも大きくて高い山ばかりの長野県ですから、大平原にぽつらぽつらと山がある北海道のようにはいくまいと思ってたのです。

なのでこうして北アルプスのビッグネームが町のあちこちから見えてしまうことにとても驚いたし、穏やかにはしてられないものを感じてしまいました。

これ以上近くから見てしまうと、ずっと前に心の奥のほうにしまいこんだ衝動が、目を覚ましてしまうかもしれません。
これくらいの距離から見るのが、ちょうどいいのかな。
今は、ね。

投稿者 hamayo : 22:46 | コメント (7) | トラックバック

2010 - 6 /20

山で一泊、上ホロから十勝岳(2日目)



午前3時。
青い朝。
あたりには沈黙がみなぎっていました。
薄明の始まった空の下で、山々はゆうべとまた違う表情をしています。





稜線を北へ歩いていくと、ちょうど上ホロカメットク山の頂に、今日の最初の日の光があたりはじめました。
上ホロカメットク山のあたる、今日最初の光



じきに太陽はくまなく山々を照らし、富良野岳もお目覚めです。
光は富良野岳にも届きました



美瑛岳方面に縦走する登山者たちを見送ったら、テントに戻って二度寝します。
なんせまだ4時すぎですから。
グゥグゥ。


8時半になって、ようやく十勝岳へ向けて出発。
荷物はあらかたテントに置いて、身軽な体で。
荷物はテントに置いて、十勝岳へ




今日の十勝岳は、新得側からの風がとても強く、細尾根の通過ではなんども恐い思いをしました。
東風が強い細尾根を慎重に

最後はやはり、スコリアの急な斜面を、風の音だけを聞きながら登り切りました。


先週来たばっかりなのに。
先週きたばっかりの十勝岳山頂にて

真冬にバスを待つ老人のように見えるのは、たぶん強風のせいです。たぶん。


とにかく風が強いので、一目散に下山。
振り返ると、今日も十勝岳は黒々としていました。
今日も十勝岳は黒かった




途中に見える、大砲岩にはX印。
大砲岩にはX印




20年前の秋、初雪が降る中ここからOP尾根を下り、三段山経由で下山したことがあります。
当時は立ち入り禁止じゃなかったように思うけど、岩場でさんざんな目にあったことだけははっきりと覚えています。
いわゆるバリエーションルートですが、もし機会があるなら、いつかまた、今度はこの尾根を登ってみたいな。


正午前にテントに戻り、昼ご飯に残しておいた富良野マルシェ・サボールのバカでかいパンを頬張ったら、一夜の宿を片付けて帰り支度。
名残惜しいよ。


巻き道は通らず、カミホロカメットク山の山頂へダイレクトに。
帰りは巻き道を通らず、上ホロカメットク山へダイレクトに登る




遠目にはひどく荒々しく見えるこの山ですが、花のシーズンの先陣を切って、初夏の岩礫地をいろどる3姉妹が咲いていました。


イワウメ
イワウメ


ミネズオウ
ミネズオウ


コメバツガザクラ
コメバツガザクラ



D尾根の雪稜を下り始めるとこの風景ともお別れ。
D尾根の雪稜から山々を眺める

次はいつ来られるかなー。


階段地獄は、もちろんグリセードで。
ピッケルなしのグリセードはスクワットそのもので、太腿がパンパン。
階段地獄は雪ノ下



化物岩を回りこんで、急なトラバースを越えてしまえば、もう難所はありません。
30度の気温と雪の照り返しに目がくらむ中、帰り道とぼとぼ。
やがて凌雲閣が見えてきて、今回の山旅は無事終わりました。


山開きの前にしか見られない風景、見ることができたんだろうか。
目に見える物事だけでは説明が付かない何かって、なんだったんだろう。


少しだけ分かったことがあって、それは、夏至ってやつが大きく関わっているんじゃないのかな、ってことです。
夏至のころ、黄経90度を境として、太陽に現れる変化。
これから衰えていく光の中で見る風景と、成長を続ける光の中で見る風景が、一緒のわけがないじゃないか、なんてね。


たぶん答えは、何年も何十年も、繰りかえし山を歩き続けていれば、そのずっと後に分かるのかも。
山の楽しみは尽きません。


おしまい。

投稿者 hamayo : 07:28 | コメント (4) | トラックバック

2010 - 6 /18

山で一泊、上ホロから十勝岳(1日目)



山開きを向かえた後では、もう見ることができない風景というものが、たしかにあると思うのです。


残雪が豊富だとか、この時期にだけ花を咲かす高山植物などといった、目に見えるものごともそのひとつだけど、それだけでは説明が付かない何かが、特別な風景を見せてくれるんじゃないかと思うのです。


たとえばそれは、まだ人にかき回されていない、みずみずしい山の空気かもしれません。
たとえばそれは、山々が長い眠りから目ざめる直前の、無呼吸的な静寂かもしれません。


そこで見られるものは、きわめて局所的で、限定的な風景といえるでしょう。
それを確かめるために、またしてもこの界隈にやってきてしまいました。


温泉の人曰く、「雪がありすぎて山開きに間に合うかな。」
ならば行くしかあるまい。
たぶん今年は、これが最後のチャンスです。





駐車場を出て、コンクリートの敷かれた硬い坂道を歩いていくと、数分も立たぬうちに道は雪に埋もれてしまいました。
ほんの数メートルほどは、いろいろな大きさのいろいろな形をした足あとがいくつも交錯していましたが、じきにそれらは来た方向へと戻り、一本の確かな歩幅の踏み跡だけが先へと続いていました。

山に登るつもりのない一般の観光客は、ここで引き返すことになるでしょう。


この1つめの関を越えて奥へ進むと、岩と雪の力強い峰々が出迎えてくれます。
岩と雪の力強い峰々がお出迎え



雪を跨いで対岸の斜面へと渡り、しばらくは土の地面とハイマツの香り。
楽できると思ったのもつかの間、あらわれた雪の斜面は、イヤらしい硬さとイヤらしい斜度。


イヤらしい硬さとイヤらしい斜度、第2の関所。


硬い雪の斜面をトラバースすることに不安を感じる人は、ここより先へ進むことを諦めることになるでしょう。


化物岩の圧力を感じながら、雪と土を交互に踏んで岩を回りこみ、少し高度を下げると、雪に埋もれた夏道の分岐標識を見つけます。
分岐なのに、雪上の踏み跡はひとつの方向にしかなく、おそらくそれは富良野岳へ向かった登山者のもの。

雪に埋もれた夏道の分岐標識


地図読みに自信がない人は、ここで大事な決断をせまられることになるでしょう。


コンパスを切って、右に離れていく踏み跡に惑わされないように雪渓を登っていくと、前方の尾根にあの地獄階段が目視できました。
ここで小休止。


三峰山と富良野岳にかこまれて、あたりはすっかり山の中。
大きな雪渓、三峰山と富良野岳




小さく気合いを入れて階段地獄に挑むも、半分くらいはまだ雪の下で、あっという間に、拍子抜けするくらい短時間で登り切って、D尾根に出てしまいました。


先週登った十勝岳とご対面。
D尾根にて、十勝岳とご対面


ここまでくれば、左右から迫りくる岩の展望をほしいままに、迫力あるD尾根を一気に登り切って上富良野岳へ。


ここから小屋までルートは二つ。
上ホロカメットク山を越えるルートは、北側の下りに雪が着いてると危ないと思い、南東の峠を跨ぐ巻き道ルートを取るも、予想に反して100%雪に覆われていました。
しかも新得側の斜面に出ると、ところどころが氷化して、雪と氷の縞模様。


小屋は見えてるのに足が出ず。
小屋は見えてるのに足が出ず


足裏センサーの感度を最大にして、雪の柔らかい部分を選び、やっとの思いで避難小屋までたどり着くと、カミホロ山頂コースを進んだ二人組が先に着いていて、一等地にはすでにテントが張られていました。


数少ない平坦地にHEX3を建てて、ようやく人心地。
テントを立てて人心地



16時。
しばしの休息。

17時30分。
2年前に消費期限の切れたSolleoneの夕食。

18時30分。
一日の最後を見届けるため、主稜線を北に。

18時45分。
OP尾根の手前、小ピークから西に延びる支尾根へ。


雪と戯れるスノーボーダーが、夕日の色に染まっていきます。
夕日に染まるスノーボーダー



そして19時。
太陽は目に見える速さで地平線に近づいていきます。
空が、岩が、雪が、みるみる色を変えていきます。


夕暮れ時の、ほんのわずかな間だけあらわれる、魔法のような時間のはじまりです。



    ・夕暮れの十勝連峰のパノラマ

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人はよく、カメラを持たないほうがしっかりと風景を覚えていられるというけれど、この圧倒的な風景や色を、目や心に焼き付けることなんてできるわけがありません。
そしてカメラだって、このうねるようなマゼンタのトーンを、あまさず写真に表現することは、できないのです。


この日、この時間、この場所にいられたこと。
それがすべてです。


明朝、北東の空が白み始めるまで6時間と少し。
北国の夏の夜は、とても短いのです。

投稿者 hamayo : 07:23 | コメント (4) | トラックバック

2010 - 6 /16

山で寝る



性懲りもなく、また山へ行ってしまいました。


静かに沈む太陽に
静かに沈む太陽に



青い夜明け
青い夜明け



夏道が、まだ雪の下に隠れている山には、いろいろなプロフェッショナルが歩いていました。
山開きの前の、大きな山は、とても新鮮で、刺激的です。


詳細は後日


投稿者 hamayo : 07:35 | トラックバック

2010 - 6 /14

小諸図書館(KOMORO TOSYOKAN)



なんでもかんでも横文字表記することにはあまり感心しないけど、それが似合ってるならぜんぜんオーケーです。


小諸図書館(komoro tosyokan)




Library と書かず、TOSYOKAN としたセンスに脱帽です。


小諸図書館に用事があったわけではなく、ふらふらと細い小路をつないで歩いていたら、ここに出くわしただけなのです。
たぶん、著名な建築家がデザインしたわけでもなければ、保存すべき歴史の重みが詰まった建造物でもなく、どこの町にもあるごく普通の図書館なのだと思うけど、この文字があるだけでグっと洗練された印象を受けます。


あぁこの道を歩いてきてよかった、と独りごちてしまうくらい、ぼくにとってはかけがえのない巡り合わせでした。

投稿者 hamayo : 21:51 | コメント (4) | トラックバック

2010 - 6 /10

残雪の十勝岳でズルズル



快晴、無風、気温9度の望岳台。
快晴、無風、気温9度の望岳台。"




一見、非の打ちどころのない登山日和に見えるこの写真には、今日の登山のカギを握るあるものが写っています。
富良野の町からも、すでに'そいつ'は見えていて、その時からずっと思っていました。

「天気が良すぎるのも考えものだな」

と。


多すぎる残雪や、アリ地獄のような砂礫に苦戦しつつも、ぼくは山に登り、ちゃんと帰って来ました。
ですが、きっちり'そいつ'にはヤラレたのです。
ちゃんと予見してたのにね。





始めは緩やかだったガレ斜面は、こっそりと勾配を強めてきます。
おや?少しきつくなってきたかな、と足が感じるころ、遠くぽつんと見えていた避難小屋がすぐ目の前の、ここは雲ノ平分岐。
遠くぽつんと見えていた避難小屋がすぐ目の前の、ここは雲ノ平分岐。




ここらあたりまでは、礫地を歩こうが雪渓を歩こうが、お気に召すまま。


しかし小屋から上は、観念するほかありません。
避難小屋から上は雪の道




まだ朝のうちは、雪が柔らかいのは表面だけで、キックステップもフラットフッティングも利きが悪く、ズルリとすべる靴底に悪態をつき、さっきまでは先行者の遅すぎるペースをいぶかしんでいた自分も、今は同じ静止画のような歩みです。


雪が切れたところから夏尾根にスイッチ。


真っ黒なスコリアの斜面を這い上がっていくと、生命感のまったくない、白と黒の光景に、しばし言葉を失います。
スコリアの斜面から、白と黒の世界



登りつめた先の安らかな平坦地は、スリバチ火口の西の端です。
スリバチ火口の西の端から見る美瑛岳


デカすぎる山体、鋭い山頂、地平線に溶け込むような裾野、そして暴力的な爆裂火口をチラリと見せてくれるこの地点は、美瑛岳の美しさが最もきわだつ場所だと思います。


ふたたび雪から離れ、まっ平らな砂礫の原っぱを抜けます。
いよいよ本峰へ。


そそりたつ雪の斜面へ向かう先行者は、あたかも巨大な波に挑むサーファーのよう。
巨大な波に挑むサーファーのよう




でもよく観察すれば、踏み跡は下りてくる人が付けたもの。
稜線に出た二人組みの苦戦ぶりを、ハラハラドキドキで見ていました。


ならばと探した緩い斜面も、頂稜直下ではかなりの傾斜。
ならばと探した緩い斜面も、頂稜直下ではかなりの傾斜。




見えない前爪で蹴りこむけれど、滑ったら止まらないだろうな。
帰りもかなり心配だし。


そして頂上。
オーバー2000mの、決して真夏には見ることができない、残雪の山々。


    ・十勝岳からの、残雪の山々のパノラマ

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昼ごはんは、ダイモスおにぎり。
ダイモス




天気予報では終日晴れだったけど、午後には小さな気圧の谷がペロリとなめていくのは分かってたから、ちょっとばかし寝ころんだら早めに下山します。


みんなが下りの踏み跡にダマされて、苦戦して登ってた雪のビッグウェーブへ。
面白いようにグリセードが走って、少しはテレマークを持ってこなかった穴埋めになったかな。


谷を下りきって、ぐるりとあたりを見回すと、まるで氷河トレッキング。
まるで氷河トレッキング



そうやってはしゃいでいると、忘れていた'あいつ'がやってきました。
目に見えないし、音も立てない。


唐突に、冷たいバターナイフを鼻の穴につっこまれ、グリグリされるような感触。
でもその瞬間に、何が起こったかは理解できました。
濃度の高い硫化水素を鼻から吸い込んで、粘膜が侵されたのです。


富良野から十勝岳を見上げた時、噴煙がほとんどまっすぐ上がっていくのが見えてました。
そしてちょうどグラウンド火口のあたり一帯だけが、煙っていたのです。
風が吹いてくれればいいな、と思いました。
なぜならこんな穏やかな日には、空気よりも比重の大きい硫化水素が、ちょっとした窪地に溜まりつづけ、濃度が高くなっている可能性があるからです。


幸いにして、ひどい障害を残すほどの濃度ではなかったようですが、この直後から、さらさらの鼻水が泉のごとく湧き出して、息をするよりも鼻を啜ってる時間の方が長いというありさまで、望岳台に降り着くまでのことは、あまり記憶にありません。


近くのスリバチ火口にはシュプールが残っていて、登りのときは羨ましい~って見てたけど、たとえ今は噴火口がなくても、ああいった窪地は危ないかもしれません。


そんでもって、踏み抜きにも、ご用心ご用心。
雪の踏み抜きにもご用心



投稿者 hamayo : 22:53 | コメント (12) | トラックバック

2010 - 6 / 8

夏山開幕?



てゆーか、雪多すぎ。
夏山開幕

バカモン!
なぜテレマークを持ってこなかったのか!




3時起き。陽に温められた岩。昼メシのあと。
山頂シエスタ




詳細は後日。

投稿者 hamayo : 06:39 | コメント (8) | トラックバック

2010 - 6 / 7

小諸城と千曲川河畔



小諸にはお城があります。


小諸城(懐古園)




でもこのお城、ちょっと変わってるんです。





駅を中心に見れば、小諸の市街地は駅よりも高い場所にあって、けっこう坂が多いなという印象を持ちます。
そして小諸城は、駅のすぐ近くにありますが、地形的にはさらに低い場所にあります。
天守閣がないことを考慮したとしても、「城が立っている」という感じはしませんし、ましてや市街地からだと城がどこにあるのかまるで分かりません。

小諸の町の断面図
小諸の町の断面図




つまり小諸においては、お城は登るものではなく下るものなのであって、城下町ではなく城上町といえるのです。


一般的な感覚でいうといささか奇妙な縄張ですが、自分の目で見て自分の足で歩いてみると、田切地形を使った空堀と千曲川の河岸断崖に囲まれた場所にあり、よくもまぁここまで見事な自然の要害を見つけたものだと、舌を巻くことになります。


小諸城内、水の手展望台から千曲川を見下ろす。
小諸城内、水の手展望台から千曲川を見下ろす



上の写真を見ると、城よりもさらに低い場所、千曲川の河畔にも町並みが見えます。
小諸の町は二段構えになっているのです。


河岸段丘の上から見ると、水田に混じって真っ黒な畑が見えます。
千曲川河畔の、黒い畑




畑というか、ただただ黒い広がりにしか見えないのですが、近づいてみると、わら葺の屋根の上に黒い寒冷紗のようなものをかけた、背の低い屋根だけの長屋みたいなものでした。
その中で栽培されているものは、観葉植物のパキラみたいな葉をしており、ぼくが知ってる野菜でこのような葉を持つものを見たことがありません。


黒い屋根の下で栽培されているもの




こういう育て方をするくらいだから、日光と雨が嫌いで、涼しく乾燥した場所を好む、たとえばウドやホワイトアスパラなんかを想像しますが、そこまで完全に遮光するわけでもなく、なかなか正体が分かりませんでした。


結局のところ、これは人参だったのです。
人参といっても、普段ぼくらが口にする人参とはあきらかに葉の形が異なります。
これは高麗人参なのです。


土作りに数年、定植から収穫まで5年くらい、そして連作不可とのこと。
そこへ至るまでの道のり、栽培の苦労ははかりしれません。


このあたりは日本有数の産地だそうですが、そもそも高麗人参を栽培している地域自体、日本に数箇所しかないそうで、つまりこの風景は、この場所限りのものなんですね。
こんな貴重な風物を見られただけでも、小諸を歩いた甲斐があったというものです。


投稿者 hamayo : 11:35 | コメント (4) | トラックバック

2010 - 6 / 5

ツバメの季節



どこからか感じる熱視線。
ツバメくんがこんにちは。

ツバメくんがこんにちは



北海道ではなかなかツバメを見る機会がありません。
内地に住んでいた時間よりも、北海道に住んでいる方が長くなってはいますが、「サクラの次はツバメ」という季節感はなかなか抜けません。


小学校のころは家のまわりにもまだ田んぼがいっぱいあって、学級の半分くらいは稲作農家の息子でした。
農家の友達の家に行って、飛びかうツバメに石を投げてからかっていると、ツバメは稲は食わんけど虫を食うてくれるから大事にせなあかん、とオヤジさんから怒られたものです。


ぼくの家は農家ではなく、家もふつうの建売住宅だったけど、玄関の軒先にツバメが巣を作ったときはとても嬉しかったことを覚えています。
ひとりっこで両親が共働きだったぼくは、学校から帰ってきてもだれも出迎えてはくれません。
でもツバメの巣ができてからは、にぎやかに鳴くツバメの子らがいつもいて、心がはずみました。


ある日ツバメの子は巣立ち、玄関先はまた静かになります。
カラッポになってしまった巣はこの家にできた異物のように思えてきて、取ってしまおうと父に提案すると、巣を残してあると来年また別のツバメが来てここで子育てするんだよ、と教えてくれました。


父の言ったとおり、その後もツバメは毎年ぼくの家で子育てをするようになりましたが、おなじ巣を使っていたかどうかは覚えていません。
小学校も高学年になり、友達との遊びにいそがしい毎日をすごすようになったぼくは、もうツバメの子らを気にかけることもなくなっていたのです。
それでも家のまわりをツバメが飛びかい、玄関先からヒナの鳴き声が聞こえるようになると、子供ながらに新しい季節が来たことを実感したものです。


初夏の信州、いつもは見る機会のないツバメの姿にふとそんなことを思い出して、写真を撮ったのでした。

投稿者 hamayo : 07:23 | コメント (2) | トラックバック

2010 - 6 / 2

スミレの咲く町



こんなスミレが咲く町に行ってきました。
めずらしいスミレの花




植物に詳しい人なら、どこの町かすぐに分かってしまう、そんなめずらしいスミレです。





新幹線を降りて、そこよりも高い場所にあるローカル線のホームに出ると、
だしぬけに、大きな空、大きな山。
ローカル線のホームから、大きな空、大きな山




新幹線から乗り換えた2両編成のローカル列車には、明るくて、乾いた時間が流れていました。
よく目をこらせば、つかまえて手の上に乗せられそうなくらい、ゆるゆると流れていました。


窓のそとにはずっと大きな山が見えていて、少しずつこちらに近づいてきます。
窓のそと、近付く山




小気味よい音を響かせる車輪のリズムが徐々にゆっくりになり、やがて駅に到着します。
駅前は小さな広場になっていて、向かいの古びた飲食店のビルの先に、薄く噴煙を上げる山が見えます。
広場の北側にはこぢんまりとした、けれどとても丁寧に作られた花壇があり、停車場ガーデンと名付けられたこの場所では、色とりどりの花が風にゆれていました。


そのすぐとなりに、この花と同じ名前のカフェがありました。

「こもろすみれ」


ぼくが今回、小さな旅をした町は、長野県の小諸市です。

投稿者 hamayo : 20:29 | コメント (2) | トラックバック