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2009 - 11 / 5

ニセコの山に、大きな輪っかを描きました



そこかしこで路面が凍結したパノラマラインの駐車場には、すでに数台の車が止まっていました。
行き先は、山なのか、沼なのか。


車の窓をすこし開けるだけで、切れ味するどい寒風が吹きこんできます。
今日の山登りは中止にして、五色温泉にでも行かないか?、という心の声。
車からおりるのもためらわれるほどの寒さ、その声はあまりにも甘美に聞こえます。


単独行ですから、行くのも帰るのも自由だけど、秋が終わる最後のいちにちを山ですごせる幸運を、手放すわけにはいきません。
「よし」と気合いをいれて、冬の前の最後の山旅へ。




よし!
↓↓↓↓↓↓↓↓↓







木道にはびっしりと霜が降りていて、すこしでも傾斜があるところは、つるりと滑ってもうたいへん。

びっしりと霜が降り、ストック無しでは歩けない木道


木道に付いた先行者の足あとは、神仙沼の分岐で右へと向かいました。
どうやらこの寒い日に、ぼくの少し先を歩く人がいるようです。


じきに木道も終わり、その名のとおり南北に長い長沼は、水が涸れて'いびつ'な形になっていました。
日の出の時刻はとうにすぎていますが、山かげの沼にはいまだ光もとどかず、寒々しい空を映すのみです。


太陽が上がるのを、じっと待っているかのようです。

太陽が上がるのをじっと待つ長沼


立っているだけで体温が奪われそうになる風景をあとに、湯本温泉へぬける峠越えの道にのって、チセヌプリ山頂をめざします。
笹の回廊は見通しわるく、泉のように湧きだす水がヤチを作り、道ゆく人の足を掴まえようと待ちかまえています。


泥の斜面に残された、すべった靴あと、もぐった足あと。
先行者の苦労に思いをかさねます。


身体じゅうから湯気をたぎらせ、チセヌプリの急勾配、ふりむけば、山上の交差点を、朝の陽射しがかけぬけていきます。

山上の交差点をかけぬける陽射し



息が上がり、立ちどまって、じっと見つめる足もとに、みどり色の小宇宙。

足もと小宇宙



気がつくと立っていた、雲の底すれすれのチセヌプリ山頂は、氷漬けにされそうな寒さ。

雲の底すれすれのチセヌプリ山頂



早々とケルンをあとに、少しばかりのヤブを漕いで東へくだると、次のニトヌプリが見えてきます。

次の山頂、ニトヌプリが見えます


しかしここからの下りには、思いもよらない苦難が待ちかまえていました。
歩いて乗り降りするのが困難な、1メートルくらいのまるい大岩が、急斜面を埋めつくし、そのつるりとした岩の表面は、苔むしているせいでさらにフリクションが低く、ばったばったとひっくり返されます。
短いながらも、かなりの悪路です。


それに比べればニトヌプリへの登りは快適ですが、あいかわらず水たまりや泥場はつづきます。
泥の中についた先行者の足あとには、まだ少ししか水は滲みだしていませんでした。
ここを通過してから、そんなには経っていないようです。


路程的には 1/3、気持ち的には折り返し地点、ニトヌプリ山頂。

見た目よりもずっと寒いニトヌプリの山頂

ようやく顔を出した太陽は、となりの山をあたためています。
こちらの山頂をたたく西風には、冬の匂いがまじっていました。


ニトヌプリの下り、足あとだけの存在だった先行者の影を、見つけました。

足あとの持ち主を発見


べつに追い掛けていたわけではないけれど、足あとの持ち主がいることがわかって、なんとなくほっとした気持ちです。
この距離ならば、もう追いつくことはないでしょう。


五色温泉の誘惑を振りはらって、大沼へ。

五色温泉の誘惑を振りはらって、大沼へ


ここからは五色温泉からのハイカーが増えてきます。
姿は見えなくても、人が通った気配や残像のようなものが、この道には残されています。


イワオヌプリと小イワオヌプリの鞍部。
ようやく見つけた風の吹かない場所で、おそい昼食を摂ります。

野垂れ死にカフェ


野垂れ死にスタイルで休むすがたに、行きかうガイジンさんも興味津々。
「イワノォ・ウエニィ・パンガ・アルゥ」


ここまで歩いた暖かさの貯金は、ながい休息ですっかり底をついてしまいました。
おもい腰を上げ、からだをほぐし、峠をおりるころにはすっかり日も傾き。


晩秋の山に、昼はありません。
朝の次は、夕方なのです。


大沼につくころには、ふたたび冷たい風が吹きはじめます。

日が傾き、ふたたび寒風が吹きはじめた大沼


木道があらわれると山旅もおわり。

木道があらわれたら山旅も終わり


もうじき消える秋を、できるだけ長く見ていたいから、すこしくらい寒くても、ゆっくりかみしめるように歩きます。


まぶしい西日を手でさえぎって、今日歩いてきた稜線を、目でたどります。
寒い朝、冷たい風、遠くの日だまり。
苦しかった登りも、きつかった下りも、いまは心の奥をじんわりと暖めてくれます。


やがて日暮れの神仙沼を、薄着の観光客に混じってくぐりぬけ、最後の木道を、光のほうへ。

最後の木道を、光のほうへ


ニセコの山に描いた、大きな輪っかを閉じました。


まもなくパノラマラインも冬の通行止め(2009年10月30日、通行止めになりました)。
ニセコの山の、土の上を歩けるのは、半年以上さきのこと。
しばらくは、山のみんなもひと眠りです。

そしてもうすぐ、白い季節がやってきます。
スイッチをパチンと切り替えれば、こころはもう雪の野山へ。
それまで少しのあいだ、休息をとることにしましょう。


登山日:10月末
ニセコ・サーキット(神仙沼~チセ~ニト~大沼)GPSトラック
ニセコ・サーキット(神仙沼~チセ~ニト~大沼)断面図



投稿者 hamayo : 23:22

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コメント(12)

足早に過ぎて行った秋の名残を感じる光景の中を一人歩く姿が絵になりますねぇ~~~
山々は冬支度をすませ白銀の世界の到来を待ちわびている。hamayoさんの言葉からフォトから秋が終わったことを確信しました。

今回は走ってますね~~~もちろんセルフで~(笑)
雪がくるまでhamayoさんのセルフが見られないのかな???寂しい~わ!!
はやく雪が降っちょくれ(^0^)/

どんも、どんもっす。
ぐるりニセコ山手線ウォークお疲れちゃん。
相変わらずイイ画ばかりね~(感動)。
にしても最近、エエ天気に恵まれてますな~

過ぎ行く季節への哀愁、これからやって来る季節への期待と不安、そんな二つの思いが交錯する山旅・・・。
旅の終わりは次なる旅の始まり・・・やっぱし、山旅はエエね~
てなわけで、次回は本領発揮とばかりに吹雪の荒天下でのステキな画を期待しとりま~す(笑)。

to 若葉さん

秋は終わったかと思ったけど、さいきんなんだか暖かい日和が続くよね~。
次の寒気は、17、18、19日あたりかな。

そうなのです、今回はいっぱいセルフ撮ったのです。
何年ぶりかに三脚持ってったもん。

ニトの山頂でもうひとり男性がいて、ぼくにシャッターを押してもらいたかったみたいなんだけど、ぼくがあんまり真剣にセルフ撮ってたので、彼はなかなか言い出せず、ずっとモジモジしてました(笑)。

もちろん、そのあとちゃんと撮ってあげましたよ(´∀`)

to kacchinさん

なんとなく晴天っぽいでしょ。
でもよーく見ると、hamayoくんがいる所には、陽がさしてないんだなぁ、これが(笑)。

紅葉が終わってしまえば、ここも静かな山歩きができますね。
ニトの山頂までは誰にも会いませんでしたよ。
晩秋の山はイイネ。

本来はこうしてグルっと一回りのコースだけど、神仙沼→五色温泉への片道送迎バスがあるらしく、最近じゃほとんどの人がサーキットせず片道だけ歩くようです。

でもやっぱクラシックルートだけあって、見どころ満載、飽きるヒマもない、あっという間の15kmでしたわ。

こんにちわ~。
今日は前回登った剣山の横にある、久山岳に登って来ました。hamayoさんは登ったことありますか?
標高は1400メートル程ですが、車を止められる場所から、登山口まで小1時間歩かなければならなかったのと、700メートルを超えた辺りから、頂上までほとんど直登だったのとでへとへとです。

標高1200位からの日当たりの悪い道は、雪が残ってたり、それがか凍っていたりして、登りはもとより、下りがかなりスリリングでした。

こんばんは~。久山岳は登ったことないんです。
というのも、

 > 登山口まで小1時間歩かなければ

というのを、まわりの人からの情報として聞き知ってたので、なかなか足が向かないでいるんですよ。
はやる気持ちを抑えるためのウォーミングアップと思えば、それもアリですかね(笑)。

地図を見ても、あれだけ等高線が混んでるのに道はほぼ一直線ですから、直登具合はそうとうなものだったでしょうね。

でもこの山、山頂からはなかなかの眺めだという話しですが、いかがでしたか。
個人的に、いちばん高い場所からの眺めよりも、すこし低い場所から高い山々を見渡す方が好きなんですよ。
まわりの地形からいって久山岳は、たぶんぼく好みのパノラマだと思うんですよね~。

 山頂からの眺めは少しモヤがかかってたのもあって、正直前回の剣山のときのほうがきれいでした。

 でも、まわりの標高が高い山々がおぼろげながら見えたので満足です。
 剣山のときは下っているときに、すれ違った登山者は10組を越えた辺りから数えるのをやめてしまったくらいなんですが、今回はたった1人(笑)。登山の前後に往復1時間半くらいは歩かなきゃっていうのと、肝心の登り自体もきついってことでおとなりの山と比べると、人気が無いみたいですね。

ハハハ、やっぱ不人気なんですか。
周辺には伏美岳、芽室岳、剣山、と満足率100%な山がいっぱいありますからね~。

ぼくとしても、行ってはみたいものの、プライオリティ値はなかなか上がってこないです(笑)。

今年も足跡を沢山残して無事終了ですね!(パチパチ)
しっかし雨が多い週末でした。計画は流れましたが被害を受けた人達の事を思うと文句は言えねぇ心でございます。

素晴らしい画像と感性豊かなブン!吸い込まれそうに読みました^^。
来シーズンのぶらり旅?ぶらり旅は未だ残ってるね。
さて未踏の山は何処でしょう?
楽しみにしてますよ~(^-^)

雨降りが多かったですね。
来年もこんなんだったら、雨の日の山を楽しめるように心の修行をしないとだめだね~(笑)。

行ったことがない山はいっぱいあるし、また行ってみたい山もたくさんあるなぁ。
健康で、歩けることだけで幸せなので、そのとき行きたい山にぶらりとでかけるような感じで、来シーズンも登れればいいなぁ。

 こんにちは。

 「秋は消える」のですね。
 消えてしまった晩秋の一日、弱い日差しや冷気が伝わってきます。

  >晩秋の山に、昼はありません。
  >朝の次は、夕方なのです。

 この2行に、合点です。

 それから、(こそっと)間抜けな質問をひとつ。
 野垂れ死にスタイルって、あおむけですか、うつぶせですか?

 私の中では、野垂れ死に=蝉=仰向け、です。
 夏、道端にアブラゼミやクマゼミの死骸をよく見かけます。例外なく仰向け(羽が下)の姿を見るたび、ヒトもこんな風に死ねたらいいのに、と羨ましく思うのです。とはいえ、ヒトはあまりにも図体が大きすぎて、アリがどこかに運んでいって、翌日はあとかたもない、とはゆかないですね。

こんばんは~。

いつも思うのですが、季節というのは一次関数的な直線で変化していくのではなく、階段関数のようにあるポイントで突然つぎのステップに移行するような、大きな変化をともなって移り変わっていくようです。
すごろくで6の目を出すみたいに。
なのでちょっと目を離したすきに、消えてしまってるのです。

野垂れ死にスタイルは仰向けでーす。
うつぶせだと通りすがりの人に通報されまーす。

でも地面にただ寝そべって天を仰いでるだけなら、それはひっくり返った人です。
からだを預けられる、木の幹なり岩なりにもたれかかって、足を投げだして腰をおろすのが、野垂れ死にスタイルです。
えぇ、ぼくが勝手に決めただけですが。

歩き疲れ、精根尽きて、とりあえず休もうといって頃合いの岩に身体をもたせかけしゃがみこみ、肢体を弛緩させる感じでしょうか。
目を閉じればそのまま眠れるよ、みたいな。
眠ったまま気を失えば、ホントの野垂れ死にです(笑)。