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2009 - 7 /23
遠い青空 美瑛富士
夏山はやっぱ、これですよ。
風は冷たく、雲は黒く。
空のご機嫌をうかがいながら、白金温泉より大雪の稜線を目指しました。
白金温泉から美瑛富士避難小屋へつながるトレイルは、傾斜はきつくないもののひたすら長く、とにかく地味で、唯一と言っていい見どころの「天然庭園」と呼ばれる場所は、累々たる岩石と背の低い針葉樹がいかにも庭園のたたずまいを見せているらしいんだけど、なにかの手違いでもあったのかひどい荒れ庭になっており、もはや足下の泥濘を話し相手にもくもくと登るしかやることがない、そんな道です。
庭師不在の天然庭園
3つの雪渓を越えて。
じりじりと標高を上げ、もう少しで雲の中に入ってしまうぞって所で美瑛富士避難小屋に到着。テントは一張りもなし。
お花畑と一夜の寓居。
お昼は、余市の酵母パンの店「凜香」のハチミツオレンジパン。
それに、ドミニカ共和国はラミレス農園のコーヒーです。
外は冷たい霧雨で、テントの中でまったりしていると、オプタテシケから帰ってきたパーティが「山頂はギリギリ雲海の上だよ」などと言いなさる。
時刻は午後3時半。
オプタは明日にするとして、暗くなる前に帰ってこられるとなると美瑛富士か。
よし行ってみるか!
ってなわけで美瑛富士を目指したものの・・・
あと少しで空に手が届くのに。
頭のすぐ上を、ものすごい速度で雲が流れていきます。
雲は南の方角から切れ目なく押し寄せてきますが、不思議とこの山頂の上空だけは雲がかかりません。
一面灰色の世界にぽっかりと開いた青い空間は、まるで別の世界への入り口のようです。
そのうちもっと大きく開くんじゃないかと思いしばらく待っていたけれど、思いとは逆に青空はどんどん遠くなっていき、やがてその口はぴったりと閉ざされてしまいました
がっくりと肩を落とし、ふたたび灰色の雲の中へと。
テントに戻るころにはさらにガスが濃くなり、すぐ近くにある避難小屋さえ見えません。
あとはもう、明日の好天を信じ、食べて寝るだけです。
ところが、フライを閉めてお湯を沸かしていると、とつぜん辺りが赤くなり始めたのです。
テントの外に出てみると、夕陽に照らされた石垣山が真っ赤に染まっていました。
夕照のテント場と石垣山。
さっきまでの灰色の世界が嘘のように、空には色があふれていました。
やがて幕が下りてくるかのように、頭上から覆いかぶさってきた暗闇がふたたび色を消していき、今日いちにちが終わりました。
・
・
・
やかましいくらいのナキウサギたちの声とともに朝はやって来ました。
午前3時の空はまだ暗く、美瑛富士の上にはレモンのような形の月がかかり、眼下には富良野盆地の夜景がまたたいています。
一見すると、素晴らしい夏山の一日が始まろうとしているようにも思えました。
しかしテントの外に出てみると、触れただけで体力を奪い取られそうな、ねっとりと湿度を帯びた風が体にまとわりついてきます。
城壁のような黒雲は、まるでぼくを威嚇するかのように立ちはだかっています。
気温は+12度になっていました。
昨晩、寝るときには+6度だった気温が、一日で最も冷えるはずの日出前に+12度になっているという事実は、ぼくに下山を決断させる決定的な材料になりました。
たとえ今、星空が見えていようとも。
あたりが明るくなり始める4時、まだ雨は落ちてこないものの雨具をフル装備して、山を下ります。
3つ目の雪渓を渡るころ、突如として猛烈な風が吹き始め、シャワーのような雨が降り出しました。
雨はみるみる勢いを強め、トレイルは泥の排水溝となっていきます。
そして山上に雷一発。
4時間後、登山口に着いたときは、全身が泥まみれになっていました。
本当なら、いまごろはオプタテシケ山の頂上にいる予定でしたが、これはこれとしてひとつの素晴らしい山行だという思いです。
オプタテシケ山は、また別の機会に登ることになるでしょう。
投稿者 hamayo : 2009年7月23日 22:23
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今回も素晴らしい文章と写真に感激しました。
最近、登山で不幸な出来事が起きたりしているので気をつけてくださいね。
次回作楽しみにしています。
8月になって暑くなると山に登りたくなくなるので、今回のオプタテシケ山(美瑛富士はホントはオマケなのです)が今夏のメインディッシュになる予定だったんですよ。
色飽和を起こすぐらいの青空の下、バッシバシ夏の写真を撮りまくりながらを歩いてるはずだったんだけどなぁ。。。
山での遭難があると、装備に不備があっただとか、判断を誤っただとか、TVなんかでいろいろと騒ぎ立てられてますが、ぜんぶ自分に向けて言われてるんだと思って、自分の過去の山での行動を見つめ直しています。
>山での遭難があると、装備に不備があっただとか、
>判断を誤っただとか、TVなんかでいろいろと騒ぎ立
>てられてますが、ぜんぶ自分に向けて言われてるんだ
>と思って、自分の過去の山での行動を見つめ直してい
>ます。
他所で起きた事を自分の事として捉えられない人、俺には関係ないや、俺はそうならない、と思っている人は
非常に危ないと思います。
しかし好きだからこそ現実をしっかり見た上で「何をす
るか」を考える意味でも、このような態度/考え方は
非常に重要だと思います。
まさにハインリッヒの法則ですね。
他山の石と見るか、対岸の火事と見るか、でしょうか。
自分がそうならないという保証は、どこにもないんですよね。
ハインリッヒの法則は、いまでも数年ごとの研修で目にします。
自分の身に起きたヒヤリハットを書けといわれて書けない人は、ミスを起こさない優秀な人ではなく、エラーに気付かない鈍感で危険な人、でしたっけ。
労災うんぬんというよりも、あらゆるヒューマンエラーにかかわる卓見だと思います。
はじめまして。
koyukiさんのブログからお邪魔しました。
去年から山歩きを始めたばかりの超初心者の若葉マークです。
最近の悪天のためお山の計画倒れが続いており、山の風景を求めてネット内を放浪中(^^;
写真と文・・・素敵ですね♪思わずコメントしちゃいました。
私も山にはまり、写真に興味を持ち、どんどん深みにはまっていくのが嬉しい。
セルフ写真のようですが、正統派ですね。私も最近セルフ写真を楽しんでますが・・・アホゥ派です。
また、遊びに来ます。
ようこそようこそ。
はじめまして、若葉マークさん。
ホントにお天気がよくないですよね、今年の夏は。
ぼくもkoyukiさんのBlogから辿って、以前から時々お邪魔してますよ~。
山を始めたころの面白さとか、ドキドキ感とか、ハマっていく様子とかがよく表れてて、自分の時と重ね合わせて読んでます。
セルフ写真を撮るのがねぇ、好きなんですよ。
ずっと前から。
そのために山に登ってるんじゃないか、ってくらい好きなんですよ。
正統派なんでしょうか。
アホゥ派ってのもいいですね。
ぼくもかなりアホゥ派な写真も撮ってますが、、、とても表には出せませぬ。
こんにちは~
オヤ!うちのスーパースター若葉さんもhamayoワールドに
引き込まれたようで^^。
お天気悪いですね^^;!今年はことごとく山に振られましたぁ。当初19,20日は千栄からヌカビラ岳~北戸蔦~中戸蔦~戸蔦別を予定して楽しみにしてましたが雨天続きでhamayoさんコースでオプタテに変更。しかし又雨で白銀荘のテラスで早朝ジンギスカンとマッタリ温泉に浸かり帰宅です。どちらも楽しみな山行でしたのに残念でしたが引き返す勇気が一番大切だと思いました。
何時も登るときはラストチャンスと思って登っているもので・・・(^。^;)
山でのひとつの出会いが、こうやって繋がっていくのって楽しいですね。
文字どおりワールド・ワイド・ウェブだワ、こりゃ。
白銀荘のテラスでジンギスカンもいいですね。
天気が悪いときはさっさとあきらめて、うまいもん食べてお酒を飲んじゃえば、登りたくても登れなくなるってもんですよ。
koyukiさんは全然まだまだ登れるでしょう。
だって毎週でも行っちゃうぐらいタフなんだもん。