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2008 - 8 /23

素顔の富良野岳 ~三峰山~上富良野岳



いわずと知れた花の名峰、富良野岳
最盛期の7月中下旬ともなれば内地からの登山客が大挙しておしよせ、登山道は渋滞し、山頂直下では順番待ちの行列が出来ることもあるそうで。
アマノジャクなぼくは、そったら大人気の山になんて登ってられるかよと、いままでずっと無視し続けてきました。


でもまてよ、と。
花の季節が終わり、紅葉シーズンが始まるまでのこのスキマ、もしかして富良野岳はガラガラかもしれない。


富良野岳-三峰山-上富良野岳 GPSトラック
富良野岳-三峰山-上富良野岳 GPSトラック


富良野岳-三峰山-上富良野岳 断面図
富良野岳-三峰山-上富良野岳 断面図


機會來了
↓↓↓↓



思ったとおり凌雲閣となりの駐車場には、十数台の車しか止まっておらず、見たところ登山者らしきクルマは数台だけでした。
ここから安政火口ちかくまでは、整備されたゆるやかな道が続きます。


朝まだ早いこの時間、山の巒気にひんやり、身が引き締まります。
山の巒気ひんやり


30分ほど歩くと、いきなりデッカイ風景が目の前に。
安政火口

有史以来なんどとなく噴火を繰り返してきた十勝岳のふところ、安政火口です。
はやくも山旅のカンドーは最高潮に。


涸れ沢のヌッカクシ富良野川を渡り、赤い実をつけたナナカマドとハイマツに覆われた緑の斜面を登ります。
頭上にのしかかる化物岩の裾を回り込んで振り向くと、威圧的な三段山の南壁がせまります。


西側から見る冬の三段山とはまたちがう、荒々しい姿です。
三段山と安政火口


上ホロカメットク山分岐を越えトレイルは下りに転じ、同様に涸れ沢となった三峰山沢に降り立つと、かなたに富良野岳が見えてきました。
雄雄しさと優しさが同居した、麗しき山体です。


三峰山沢から富良野だけを望む

(960KB;要Flash Player ver8.0.24 or later;別窓で開きます)



ここから先、三峰山北斜面に広がるハイマツ帯の、長いなが~いトラバースになります。
単調に思えた水平道も、振り向くたびに十勝岳方向の眺めが美しく、時間を感じさせません。


水平トラバースから見る十勝岳方面

(834KB;要Flash Player ver8.0.24 or later;別窓で開きます)



屏風のようにそそり立つ岩をすぎると鉄階段の登りとなり、ようやく登山らしくなってきました。
高度差100mを詰めて稜線に出ると、富良野岳分岐。
今まで見えなかった南側の展望が開けます。


上ホロから境山下ホロ。そして名前なき山々。
上ホロから境山、下ホロ。そして名前なき山々


あれだけ遠くに見えた富良野岳も、もう手の届くところにまで近付いてきました。
富良野岳へ最後のひと登り


稜線の北側から次々に雲がわき上がってきます。
下りてきた登山者から、今ならまだ間に合うよと話しかけられたぼくは、一気にペースを上げて先行者をゴボウ抜きします。
雲の中の山頂はもうこりごりです。


そして出発から 2時間40分、富良野岳山頂です。
富良野岳山頂


湧き上がる雲はさっきよりも高い場所にまで達し、すでに雲海へと成長していましたが、なんとか展望を得ることは出来ました。
快晴とはいえないけど、悪天憑きのぼくにしては上出来です。


トンボの飛び交う、富良野岳山頂からの360度

(1820KB;要Flash Player ver8.0.24 or later;別窓で開きます)




夏のあいだを山で過ごしたトンボたちが、続々とスタートラインに集まり、号砲が鳴るのを今か今かと待っています。
彼らが山を下り始めるのと同時に、秋も里へと下りてくるのです。


今回のコースは、ここ富良野岳山頂でまだ行程の半分に達していません。
このあと分岐まで下り、3つのピークを持つ三峰山を越え、上富良野岳に至る稜線を歩き、D尾根経由で登山口に戻ります。


山脈を越えようと押し寄せる雲の向こうに十勝岳を見ながら、先を急ぎます。
押し寄せる雲のほうへ


三峰山との最低鞍部まで下りると、すっかり雲に包まれてしまいました。
ここでお昼にします。


ぼくの大好きな豆、ケニア産ルイス・グラシアをガリガリ挽いて、コーヒータイムです。
七変化する豆、ケニア産ルイス・グラシアで至福の一杯


マッタリ寛いでると三峰山から下りてきたガイジンさんが、珍しい動物を見たから名前を教えてくれ、と話しかけてきました。
話を続けてとうながしても、動物の名前を~ しか言わないので、チチッと鳴くやつなら「ナキウサギ」だよと教えると、ウサギより小さくてネズミくらいだったと言いなさる。
いや、いいんだ。小さいけどウサギ目なんだよ。


日が陰った立秋すぎの稜線は、動いてないと寒さを感じます。
あたりを見回すと雲の中、いつのまにかいつもの風景です。
やれやれと呟いて三峰山へと歩を進めます。


夏の名残のお花畑が延々と続きます。
夏の名残のお花畑


山名を見てもそうだし、地形図でも予想はしていましたが、三峰山はニセピークの罠だらけでした。
ガスで視界が悪いのでなおさらです。
山頂標識なんてないだろうと思っていたぼくは、ニセピークでたくさん記念撮影をしてしまいました。


ホンモノの三峰山ピーク
ホンモノの三峰山ピーク


どうせ待っても晴れないだろうと三峰山をすぐに下ります。
ところが上富良野岳の登りにさしかかると、

ガスが薄くなってきました。
雲のフチを歩いて上富良野岳へ


三峰山から上富良野岳までの稜線は、峻険な崖が切れ落ちる北西側とは対照的に、南東側はわりと平らなザレ地で、どこにでもテントが張れそうです。


薄日を浴びて、平らでザレた稜線を歩く。
薄日を浴びて、平らでザレた稜線を歩く


国立公園内の特別保護地区なので、指定地以外でのキャンプは禁止ですが、テントが張れそうな場所のデータをストックしておくことは、いつか何かの役に立つかもしれません。
といってもここの場合、上ホロの避難小屋が近いので、利用することはないでしょう。


そして本日最後のピーク、上富良野岳。
10年以上前に来たときには名無しピークだったのに、いつのまにか名前が付いたようです。


なぜかまたしても雲の中。
上富良野岳山頂はなぜかまたしても雲の中


ここから下山で辿る D尾根は、上富良野岳から西に延びる岩尾根で、末端の化物岩を南から巻いて往路の上ホロ分岐へと出ます。


ガスで先が見えないんじゃなく、急で見えないのです。
D尾根の最上部


登ってきたことはあるけど、下山に使うのは初めてです。


岩の殿堂、爆裂火口をのぞきこむ

(292KB;要Flash Player ver8.0.24 or later;別窓で開きます)




八ツ手岩への支尾根を右に分けると、傾斜もゆるみ、ふたたび緑の世界になってきます。
振り返ると稜線にかかっていた雲が晴れていくところでした。


上富良野岳から三峰山の稜線

(377KB;要Flash Player ver8.0.24 or later;別窓で開きます)



しかし D尾根には、岩よりも怖い悪魔が潜んでいるのです。

 
階段地獄。またの名を Knee Crusher.
D尾根の階段地獄 Knee Crusher.


うわさによると700段以上続くそうです。
ここも昔来たときは階段はなく、U字に掘れた深い溝状で、雨あがりのヌル&ドロに苦労したと記憶しています。
どっちもどっちだけど、下りに使うなら断然ヌルドロ溝だし、上りに使うなら階段だな。
ということで、D尾根は上りに使った方がいいと結論付けます。


そんなこんなで両膝をガクガクいわせ、1時間かけて上ホロ分岐に到着。
安政火口下の涸れ沢を越えるころには日が傾き始め、朝と同様、山の巒気が谷を包みます。


凌雲閣が見えてくるとゴールは近い。
凌雲閣が見えてくるとゴールは近い


ボロボロになった膝を引きずりつつ、ゆっくりゆっくり。
あとは温泉に入って、うまいもん食って帰るだけ。


山の呼ぶ声に何度も何度もふりかえり。
山がぼくを呼ぶ声がする


また来るよと山に挨拶して、トンボよりひとあし早く、山を下りてきました。




メジャーな山も、時期をずらせば静かなもの。
クマ鈴の音を聞かないで歩ける山の、なんと閑寂なことでしょう。
花の季節にも登ってみたいけど、花のない富良野岳には、厚化粧の時期にはない、深閑の魅力がありました。





その他の画像



投稿者 hamayo : 2008年8月23日 17:51

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コメント(8)

ヤバい・・・
っていうかキレイ過ぎです。

とうぜん体を使ってないと得られないものは有るとは思いますし、写真だけで全てが伝わらないでしょうが、それにしても筋肉痛にもならずこれだけの絶景を見れる我々は幸せ者ですね。

ただ・・・珈琲だけはこの場所で飲んだ人しか解らない味なんでしょね、ムッシュ。

どーも、おばんでしゅ。
おおっ行って来ましたな、フラノゴールデントライアングルへ!
下りマゾ階段、お疲れちゃんでした(膝の古傷は大丈夫でしたかい?)。
にしても、上ホロピストンしなくて正解でしたな、あの辺りガスってたらマジヤバイからね。

山の緑、岩肌の茶、空の青、雲の白、これぞ大自然のコントラスト・・・それぞれの色が絶妙に絡み合って、とってもスンバラシイ~
そんな絶景を前にして飲むコーヒー、まさに至福の時、たまらんですな・・・これこそ、お金で買えない価値も何ちゃらですよな。

そういえば、上ホロ避難小屋の十勝岳寄りある大砲岩から三段山へ抜けるルートって昔あったけど、最近の地図に出てないんだよね、廃道になったんですな(ヤバイ道だったからなぁ・・・)。

to バオヤッキーさん

マジでビューリホーでした。
道内、いや国内、いやいや今や極東アジア屈指の人気を誇る山だけに敬遠してきたのですが、たしかに人気があるのも頷けました。
食わず嫌いはイクナイですね。

山で食うおにぎりがうまいのと同じで、山で飲むコーヒーはやっぱ格別の味ですし、風景とコーヒーの味が紐付けされることで、のちのち同じコーヒーを飲んだときに一瞬で「あのときの風景」の場所に戻れるんです。
不思議ですね~、ヒトの脳って。

to kacchinさん

コニチワワ。
おかげさんでCrash寸前でヒザは守られました。

森、岩、沢、火口、展望、階段(笑)・・・
富良野岳は山の小道具が何でもそろってるイイ山ですねー。
トップシーズンにはさらに、雪渓と花が加わるんだから、そりゃ大人気だわ。

上ホロのガス・・・、前に避難小屋に泊まったときに、南東側の水場まで水汲みに行った帰り、ガスに巻かれて小屋に戻れなくなったんですよ。
夕方でどんどん暗くなっていく中、とにかく高い方目指して登っていって縦走路に突き当たったときには、力が抜けて崩れ落ちましたよ、ホント。

水汲みでもコンパスと地図とライトは必携すべし、という教訓を頂きました。


  >大砲岩から三段山へ抜けるルート
 
OP尾根でしょ?。
じつはそこでも、下りで使って過去にヤバい事になってたり>ワシ。
道には迷う(もともと道なんて無いに等しいけど)わ、岩は脆くて崩れるわ、ゆうべの初雪は残ってるわ。

テント泊縦走の20kg弱のザックを背負ったままじゃどうしても登れない岩が出てきて、空身で登ってロープでザックを引き上げたらザックが落ちてまた下りて、もう体力的にあと一回しかこの岩は登れんってんで、背負ったままなんとか登りきったときは、マジで涙がポロポロとあふれたもんです。

行った事がないバリエーションはまず登りで使え、って教訓を頂きました。


なもんで、上ホロは鬼門です(笑)。
もうあの山は・・・。

一昨日は北海道はとても寒かったそうですね。
富良野と聞くとすぐラベンダーを思い浮かべる(行ったことがないのに)知識なしですが、
hamayoさんの場合はいつもながらの本格的な登山ですね。
今日は運動不足解消のつもりで1時間半ほど歩いて用足しに行ってきましたが、ちょっと外へ出ただけで、用水路のところではたくさんの羽黒蜻蛉たちが川端会議をしていたり、刈入れの近づいた田んぼでは数えきれないほどの赤トンボ(?)が飛び交い、すっかり秋の気配を感じます。
北海道の自然はお写真で見せて頂くだけでも雄大で本当に素晴らしいですが、北海道とまで言わなくても美しい景色を求めて自分のものにするには、やはり億劫がらずに
hamayoさんのように自分の足で歩かなければいけませんね。

いきなり寒くなったせいか、急に秋の虫が鳴きはじめました。
チリチリチリチリ・・・・
リリィーンリリィーン・・・・

ハグロトンボがいっぱいいるなんて、なかなかいい環境の場所にお住まいですね。
水の流れと淀み、きれいな水草、風通しのいい林、手入れされた田んぼ、そういう風景が目に浮かびます。

歩く速度は、目に入る全てのものをつぶさに観察できる速度だし、進むのも止まるのも自由なので、目的地ではなく目的地までの行程すべてが楽しみの対象になるのがいいですね。

青空一杯の山行良かったですね!展望も素晴らしいです。
三座も!!贅沢な時間を過ごしたようですね。私も行ってきましたよーー!富良野岳がスッキリ見える山に^^。hamayoさんのアドバイスに従って暖かめの装備でバッチシでした。◕‿◕。
昨年と異なり足早に季節が変わりそうですね。今年の紅葉は期待できるかも・・・

久々の一人芝居が出来てよかったですね^^。
2年前までは毎年花の時期富良野岳に登ってました。凌雲閣に続く道はラベンダーロードでしたよ。

人が少ないとゆったりと過ごせますね。
というか、人が多いとなんだかせわしないです。
前に十勝岳に行ったときなんて遠足の中学生軍団に遭遇して、無限コンニチハ地獄でもうぐったりでした。

ラベンダーロードになってるとは知りませんでした。
見て美しいだけじゃなくて、香りも素晴らしいですもんね。
ウチの庭のラベンダーは斜面に植えたもんだから、雪の重みでダケカンバみたいに曲がりくねってます(笑)。

今年の紅葉は期待できそうですよねー。
友達のJ君と東大雪のほうに出掛ける予定なんだけど、2人がそろうとロクな天候にならないからなぁ・・・。

koyukiさんの十勝岳山行のアップも楽しみにしてますよ~。