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2007 - 6 /13
ひらけ! Port69 -その1-
ぼくの仕事には、揺るぎない指標や絶対の手順、恒星の輝きのように不変のマニュアルなどはありません。
だからぼくは通常、あらゆる困難や障壁、伏兵による奇襲やどんでん返しを想定し、予測可能な不安に対してはそれに対抗しうるいくつものカードを準備し、ことに臨むようにしています。
だけどもその日は、はじめから何か変でした。
とある新築のビルに 6台のレイヤ2スイッチを設置するという仕事でした。
翌日には利用が開始されるとのことです。
設置といっても物理的な設置はすでに終わっていて、ぼくの担当はその設定と動作試験です。
そのスイッチの設定は過去に一度経験していて、ちょっとしたトラブルがあることを想定しても、せいぜい 1台/1時間 見てればじゅうぶん、と踏んでいました。
6台の機器は、ビル内に 3つある縦系統の、それぞれ上層階・下層階に分散設置されています。
小さくて細いパイプシャフトの扉を開けて、ぼくは愕然としました。
電源工事が終わってない!
床にはただのテーブルタップが無造作に転がっているだけでした。
ビル内を走り回ってほかの 5台を確認してみましたが、すべて同様でした。
ここまでテキトーな電気屋もなかなかいません。
真っ先に B.O.(バックオーダ)にすることを考えました。
だけどその日はなぜかそうせずに、ぼくはもくもくと電源の設置を始めたのです。
自分がする必要のない仕事には、断固として手を付けない性質のぼくが、です。
事務所に連絡も入れずに。
「はじめから何か変だった」というのは、これのことなのです。
電源の成端には 1時間かかりました。
このままでは終了まで 12時間かかる計算になるので、電源の成端だけを先行させるための応援を事務所を通さないでひとり手配し、ようやく本来の設定作業に取り掛かれるようになりました。
作業内容としては、PC内で TFTPサーバを動かしておいて、ターミナルソフトを使ってスイッチにログインし、設定内容を打ったテキストファイルを(スイッチ側から見て)ダウンロードさせる、それだけです。
しかし、いきなりのエラー発生。
コンソール画面にもエラーは表示されていますが、TFTPサーバソフトの方にもエラーが出ています。
errno: 10048
こちらはおそらく最初からエラーになっていたのでしょう。
でもぼくはそれに気付かなかったのです。
このエラー番号だけで問題を解決できるほど玄人ではありません。
現場は外部への回線がまるでない、無人の新築ビル。
ここにきてようやくぼくは事務所に連絡を入れて、進捗遅延を説明し、ひとまず「errno: 10048」を調べてもらうことにしました。
その返答は、「Google様によると、アドレス重複とのこと」というものでした。
つまり事務所には誰も分かる人間がいない、ということです。
同時に、「別のパソコンを届けるので待機しろ」と言われました。
ジ・エンドです。
業務の遂行を考えれば、「別のパソコンで・・・」というのは最も有効な解となるでしょう。
この場でエラー探索をやり続けることは効率が悪いですし、時間に制限がある以上リスクも大きいです。
プロジェクト全体で見れば、これによってのちの勝利はより確かなものとなりますが、ぼく個人としての戦いでは敗北が決まりました。
別のパソコンが届くまでの間、悪あがきと知りながらいくつかの試行錯誤をしました。
「アドレス重複」というのはおそらく「ポート」のことと思われるので、TFTP の Well Known Ports "69" をファイヤウォールで通過させるようにしたり、ファイヤウォールそのものを停止させたりしましたが、効果はありませんでした。
そして電話を切ったわずか10分後には別のパソコンが届けられ、その10分後には何の障害もなく 1台目のスイッチの設定は終わりました。
先行してる電源工事も順調に進み、その後は設定にもたいしたトラブルは起きず、残業すらすることなくすべての作業は終わったのです。
・・・「errno: 10048」の解明編につづく
投稿者 hamayo : 2007年6月13日 22:50
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御自分がする必要のない仕事に手を付けられるなんて、本当に珍しいですね。
でも無事にお仕事終わってよかったです。
お疲れ様でございました。
-その2-のほうもすごいです。
某所では数えきれないほどの問題を解決されましたよね。
自分が(自分の作業が)いちばん最後なんだ、という意識もあったのかな。
これより後にはもう何もなくって、[自分の作業が終了]イコール[運用開始]、誰にも押しつけられないし、逃げようもないわけで。
某所はドメイン未更新で消えてしまいましたね。